第003回 情報化
公民的分野 第003回 情報化
・情報化
情報化を簡単に言ってみましょう。覚えていますか。
『情報通信技術の発達で社会が変化すること』です。
もともとの意味はと言うと…
アナログデータをデジタルデータに変換することです。
えっ、なんですってと思うかもしれませんが、
簡単にいえば、ノートにまとめたものをワードに打ち込んだら『情報化』なのです。
わかりましたか。でも、公民的分野では、社会の変化に注目しています。
今回は、そこに視点を置いて、お話をすすめていきます。
『情報』って身の回りにたくさんありますよね。
たとえば、新聞、電話、ラジオ、テレビ。
こういったものをメディアといったり、情報メディアといいます。
つまり、人々に何かを伝える手段です。難しく言えば、『媒体』なんてもいいます。
従来の情報メディアに加え、『ニューメディア』も誕生しています。
たとえば、ハイビジョン放送、衛星放送、ケーブルテレビ、電子新聞などなど。
もちろんインターネットもそうですね。
新聞、テレビ、ラジオ、週刊誌や雑誌などは情報伝達する一つの手段ですよね。
それを別な言い方では、『マスメディア』ともいいます。
この場合、マスコミュニケーションの仲立ちをしているという意味に使われています。
『マス』とは、お魚でも、国語ノートの『マス』でもありません。
『大量』という意味で使われています。
ちなみに、情報の量を表すことができるんです。
その単位は『bps』です。
『b=Bit』つまり、情報の最小単位のことです。
コンピュータの世界では、オン・オフで情報を伝達します。
つまり、スイッチをつけたり、消したりが情報なんです。
面白いですね。
それを『0』と『1』で表しています。
この『0と1』が1秒間にどれだけ、送られたか、
それが『情報量』というものです。
また、新聞や雑誌などは単方向、つまり、見るだけですよね。
ラジオやテレビは聴いたり見たりだけ、『情報』を受け取るだけでした。
もちろん、投稿したり、電話をかけて、自分の声が放送に流れたりすることもありますが、
基本的に情報に対しては、受け身でした。
そう、コンピュータ通信を経て、できた世界、
インターネットは、自分の意見を簡単に世界中に広めることができるようになりました。
Facebookに掲載すれば、かなりの人が閲覧してくれるはずです。
しかも、コメントもつけてくれますよね。
お互いに『情報』を容易に送受信ができるよになったのです…。
・情報化がもたらした社会の変化は?
さて、近年、私たちは世界じゅうの人々と瞬時にお話ができるようになりましたね。
日本から離れて遠い異国の地で生活してホームシックにかかる人は、ごく稀(まれ)になりました。
それよりも、異文化に対応しきれない人の方が増えているように思えます。
それはともかく、世界じゅうの人々とあっという間に連絡がとれ、
さまざまな大量の情報を手に入れたり、共有したり、発信したり。
自分でサイトをつくってみたり、Facebookにのせてみたり。
ブログに自分のことを書いたり。いろいろできるようになりました。
携帯電話からでも世界中の人々とお話が安価でできますよね。
携帯電話で写メを送って!なんて会話が普通になってしまいました。
つまり、『情報化』が進展したのです。
そうなんです。わたしたちは、日常生活や社会において
情報が大きな役割を担う『情報社会』に生きていることに気づきましたね。
でも、最近、『情報過多』、情報が多すぎて、どの情報を信じたらいいかわからない、
なんてことがありませんか。
『情報化』はわたしたちの生活や社会を便利にしたのでしょうか。
それとも、不便にしたのでしょうか。
ちょっと、考えてみてください。
まず、消費者の立場から考えてみましょう。
たしかに、自宅で買い物ができるようになりました。
オンライン・ショッピングをしたことがある人もいると思います。
ホームページをみれば、どこで、どんなものを売っているかわかります。
クレジットカード、プリペイドカード、電子マネーは、手元に現金がなくても大丈夫。
買い物を簡単にしてくれる方法がたくさんありますよね。
台風が接近して、外出したくない!って思っているとき、
オンライン・ショッピングをして楽しもうなんて考えたことがある人も多いと思います。
では、売り手はどうでしょうか。
POSシステムって知っていますか。
レジのおばさんが、よくピッて鳴らして、バーコードで読み取っているでしょう。
あれです。どんな商品がいくつ売れたか、すべてデータを集めているのです。
どんな人が何時にどれくらい買ったのかを知っておくと、
どんな品物をそろえたら繁盛するかわかりますよね。
難しくいえば、販売戦略を立てることができるわけです。
便利な世の中になりました。
でも、ちょっと待ってください。
簡単にできるって本当に良いことなのでしょうか。
便利になったってことは、とてもいいことなのでしょうか。
じつはそうでもないです。
容易に買える反面、じつは、落とし穴があるんです。
ついつい、買いすぎちゃった。
商品が届いて、『これ、違うし!』なんて思ったりしたことはありませんか。
もっとひどいことになると、待てど暮らせど商品が届かない。
気がついたら、詐欺だったなんてことも。
最近、コンピュータやインターネットを利用して、
言葉巧みにだましたり、ワンクリック詐欺や悪意のあるサイトを作ったりして
お金をだまし取る手口が急増しています。
目に見えない犯罪です。
そういった犯罪もありますが、ブログでクラスメートの悪口を書いてみたり。
無断で友達の写真や動画をアップしたり。
肖像権や著作権にひっかかることが簡単にできるようになってしまったのです。
知らずしらず、犯罪を犯しているっていうこともあります。
・情報社会での注意すべきこと
まず、『情報過多』についてです。
インターネットの情報は『6割信じればいい』です。
個人のブログやサイトの内容は、偏った考えを持った人が書いているかもしれません。
その意見が一般的に通用しているのかどうか見極めることが大切です。
そのためにも、いくつかのサイトの内容と比べてみたり、
公式ホームページを利用したり、信頼できる機関のサイトを利用したり。
方法はたくさんあります。自分でやりやすい方法で調べるとよいでしょう。
そして、自分が何を必要としているのかを考えてから調べることです。
そうしないと、時間だけが過ぎていきます。
それでは、無駄ですよね。
また、個人情報の流出には気をつけましょう。
思わぬことが突然…なんてことがないように!
『表現の自由』は守られなければいけませんが、
公共の福祉を犯してはなりません。なんですか、それ?
はい、つまり、他人の迷惑になるようなことはしてはいけませんということです。
たとえ、顔も姿も見せずに何でもできる、
H.G.ウェルズの『透明人間』みたいのようになったぞ!と思っても、
相手の気持ちを考えて、行動をしてくださいということです。
それを『思いやり』といいます。
是非、心がけてほしいものです。
いろいろなことを色々な面から書きました。
『情報化』のもたらす功罪、この機会に、もう一度、考えてみてください。
それでは、今回はこの辺でおしまいにしましょう。