第015回 日本国憲法が定められた理由、その基本原理
ポイント:憲法が定められた理由、基本原理を考えましょう。
その1 憲法、そして、立憲主義
『憲法』って、なんでしょうか。
国の政治のしくみの根本を定める法のことです。つまり、最高法規になります。
『立憲主義』にもとづき、政治権力の乱用を防ぎ、国民の自由、権利を守っています。
つまり、人の支配だった政治が法による支配になったということです。
『憲法の構成』
① 人権の保障(憲法の目的)
② 国の政治のしくみ(①を守るための憲法の手段)
きまりは変更可能ですよね。憲法も改正できますよ。
ただ、手続きが必要ですが。
その手続きについては、憲法第96条に書いてあります。
そして、2007年に制定された国民投票法により具体的に定められているのです。
国会の仕事なので、また、後述しますが…
まず、憲法審査会または衆議院議員100人以上の賛成(参議院議員50人以上の賛成)による改正原案を提出します。
どちらにしても、総議員の3分の2以上の賛成がなければ、可決されないのです。
そして、国民投票により、有効投票の過半数の参戦で国民が承認されたことになり、
晴れて、天皇が国民の名において公布という形になります。
まだ、改正されたことはないですよ。
その2 日本国憲法ができました!(制定)
1945年8月 終戦を迎えました。
日本は、軍国主義から民主主義に変わったのです。
GHQが原案を作成し、憲法改正草案をつくり、
帝国議会で審議・一部修正し産声をあげた日本国憲法!
1946年11月3日公布 1947年5月3日施行
これにより、日本国憲法は、次のような基本原理を採用し、
人権の保障を訴えています。(特攻隊やハラ切りのイメージが強かったのかも)
① 国民主権(大日本帝国憲法では、天皇主権でした)
主権:国を治めてゆく力のこと。
つまり、国民主権とは、国民全体に主権があれば、『国民主権』なのです。
憲法第1条に明確に書かれています。
国民主権に関係する憲法
憲法第43条 国会議員について
憲法第93条 地方公共団体の長・議員について
憲法第79条 最高裁判所の裁判官の国民審査について
憲法第96条 憲法改正の手続きとしての国民投票について(さっき、書きました)
憲法第95条 特別法の住民投票のほかに直接請求権があるとき
② 平和主義(憲法第9条で戦争を放棄しています。でも、自衛隊は、軍隊?)
第二次世界大戦後、参戦していない国のリスト(7カ国)
日本、スイス、リヒテンシュタイン、アイスランド、スウェーデン、フィンランド、ブータン
どうです。約200カ国中、7カ国。平和な日本ですね。
③ 基本的人権の尊重
不断の努力により保持しなければならない基本的人権のです。
このことについては、憲法第12条に規定されています。
そして、この基本的人権には、詳しくはまた、あとで書きますが…
自由権(身体の自由、精神の自由、経済活動の自由)
自由に生きるための権利
社会権(生存権、教育を受ける権利、勤労の権利・労働基本権)
人間らしく生きるための権利
参政権・請求権
人権を確保するための権利
個人の尊重と法の下の平等:平等権
等しく生きるための権利
+
あたらしい人権(幸福追求権、環境権、知る権利、プライバシー権、自己決定権など)
憲法の条文を読むことは大変ですが、一度は是非、目を通しておきましょう。
日本人として、平和のため、国民主権のため、そして、基本的人権を尊重するため…
それが、自分自身のためにつながるのですから。
テストに出題するから…
そういう目的だったら、読まないほうがいいです。
国の政治=議会制(国民により選ばれた代表者が議会で決定する制度)
ですよね。つまり、選ぶこと…選挙権が重要なんです。
つまり、変な気持ちで議会の議員を選挙すると…政治も変になるのです。
選挙権は放棄しないように…と言われるのはこのためです。
その3 天皇
日本国と日本国民統合の『象徴』です。
って憲法第1条に書いてあります。
天皇のすること…内閣の助言と承認をもって、国事行為をします。
このことについては、憲法第7条に規定されています。
① 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
② 国会を召集すること。
③ 衆議院を解散すること。
④ 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
⑤ 国務大臣及び法律に定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状
及び大使及び公使の信任状を認証すること。
⑥ 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
⑦ 栄転を授与すること。
⑧ 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
⑨ 外国の大使及び公使を接受すること。
⑩ 儀式を行ふこと。
これだけあるんですよ。
それでは、最後に国民主権の原理を説明してみましょう。
大日本帝国憲法では天皇が主権者でした。
日本国憲法では、国民が国の政治の決定権を持つ国民主権が定められ、
天皇は日本国民の統合の『象徴』となったのです。
それでは、今回はこの辺でおしまいにしましょう。