第018回 差別を解消、、、『平等権』
第018回 差別を解消…『平等権』
ポイント:差別のない社会を築くには…
その1 平等に生きるってどういうこと?
この世に生きるすべての人って、平等に生きる権利、
そして、平等なあつかいを受ける権利をもっていますよね。
それを『平等権』っていいますよね。
平等に生きる権利…理想の世界にはあるでしょうねぇ。
偏見にもとづく差別…ないですか?
奈良時代には…賤民、良民なんて、2つに分かれて戸籍が作られましたよね。
むかーしから、平等ではない世界がふつーだったんです。
これからは、みんなが平等でないといけないですよーというのが、
平等権の考え方の基本なのです。
でも…平等ってなんなんでしょうか。
世の中は、平等になることができるのでしょうか。
男女平等っていうわりには、レディーファーストなんて、ありますよ。
ところで、
『差別』と『区別』ってどう違うんでしょうか。
男子トイレ、女子トイレ
分かれていますよね。
これは、区別。
男子の洋服、女子の洋服。
これは、どうでしょうか。
ジーンズやシャツなど、ユニセックスの洋服はありますが…
スカートが男子がはいてもいいのでしょうか。
実際、はいてる国もありますよね。
下着になると…
ちょっと、男子用のものを女子が使っても
あんまり、気にしないかも知れませんが、
女子用のものを男子が使うと…
結構、話題になっちゃうかも知れませんよね。
というわけで、差別があるのか…
ただ単に偏見だけなのか…
男女の区別をしているのか…
男女の差別をしているのか…
ちょっと、考えてみてください。
これから、『平等』について、少しずつ考えてみましょう。
その2 部落差別
まず、『部落差別』について考えてみましょう。
『部落差別』ってなんでしょうか。
それは、被差別(ひさべつ)部落出身の人に対して行われている差別のことです。
被差別…
それは、『差別を受けている』ってことです。
つまり、差別の対象になっている部落出身者に対して
現在、なお、行われている『差別』のことです。
『部落差別』=『同和問題』
奈良時代に中国の律令制度を真似してつくった戸籍。
そこには、人々を『良民』と『賤民』に分けて登録されました。
しかも、6年ごとでしたね。
長ーい人で、登録するのに11年は待たなければならなかったこの制度。
これが、形を変えて現在まで引き継がれています。
その戸籍に登録された『賤民』たち。
割合としては少ないのですが、『差別』を受けているのです。
江戸時代には、えた、ひにんと呼ばれていた人々です。
江戸時代は…
『身分』=『職業』
でしたね。
いま、『公民的分野』を勉強しているので…
忘れてしまった人は、調べてくださいね。
さて、明治時代になって、『近代化』を目指した日本。
そのためには、『差別』なんてあったら…
国際社会からはみ出してしまいますよね。
そこで、『平等』な社会にしなくっちゃ…
『解放令』が出されたのです。
やった!
日本国民は、『差別』から『解放』された!
と言うわけには簡単にはいきませんでした。
そりゃ、そうですよね。
いまの日本社会、『平等』な社会が実現されているかというと…
『うーん』なんて、うなっちゃうんじゃありませんか。
人生、そんなに甘くありません。
甘いのは、お菓子だけ…。
じつは、明治政府は『解放令』だけを廃止して、
なんら差別解消のための政策など打ち出さなかったのです。
当時の日本人、いまもそうだとは思いますが、
政治にうとーい日本人ですから、
『解放令』がだされたところで、
それが何を意味するのかなんて、考える人々が大勢いたでしょうか。
時間に対する考え方が変わり、西洋的な暦に変わっても
太陰暦で生活していた地方の人々。
西洋の暦なんて、彼らが営んできた農業に合わなかったのです。
だから、そんな暦、長い間、受け入れられなかったのです。
それと同様に、差別してきたというより、
日本の制度がそうさせてきたものに対して、
だれが、今日から、変わりましょう。
なんて思うでしょうか。
一つの『解放令』がだされても、人々の習慣が昨日から今日にかけて
打って変わって変わるなんてこと…
あるでしょうか。
ほとんどないですよね。
本来であれば、明治政府は、『解放令』を出すのと同時に
様々な『差別からの解放』を促す政策を打ち立てるべきだったのです。
ところが何もされず…
就職、教育、結婚など…差別は続いたのです。
そして…
だいぶ改善された現在、
小さなしこりを残して、『部落差別』の問題があるのです。
1965年…同和対策審議会の答申がだされました。
その内容は、
部落差別をなくすことが国の責務であり、国民の課題であると宣言し
対象地域(被差別部落)の人たちの生活の改善が推進するというものでした。
1997年…同和対策事業を推進。
人権擁護(ようご)の総合的な施策がされています。
『人権教育』の導入→『差別のない社会』の実現
とにかく…
大切なことは、制度を変えることより…
人の気持ちを変えること…
その大切さを考えて欲しいものです。
もちろん、みんな同じ考え方である必要はありません。
でも、みんなが納得のいく社会を築くことの大切さ、大変さに
気づいてほしいと思います。
そのために…みなさんは、『公民的分野』を勉強しているのだと思います。
教科書には、半ページにわたり、『部落差別』の問題について書かれています。
でも…『被差別部落』の人々は、きっと、もっと書きたいことでしょう。
そして、日本のどの地域が『被差別部落』なのかなって書かれていないでしょう。
書いてしまったら、『差別』を助長するようなものですから。
ぜひ、この機会に『差別』について考えながら、
『平等』な社会をどう築いたらいいのか考えてみてください。
その3 アイヌ民族
日本は古代から、現在の東北地方から以北を統治するのに苦労していました。
寒いですから。
しかも、作物なんて育たないですよね。
お米…弥生時代に大陸からもたらされましたね。
このお米ってどこで栽培されていたかというと…
東南アジアを中心にした地域でした。
つまり、あったかーいところ。
気候といえば、なんですか…。
調べてくださいね。
『公民的分野』を勉強しているのに、『地理的分野』の知識がないと勉強できないでしょ。
それが、『勉強』の大切さなんです。
一つの分野だけやっていれば、それでいい…
そんなことないです。
頭のいい人ってクラスに何人かいますよね。
その人たちって、たいてい要領がいいんです。
頭がいいわけではないですよ。
なんて言ったら、頭のいい人たちに怒られますね。
ごめんなさい。
話をもどしましょう。
さて、お米の栽培の北限が北海道にまでなったのは、最近のことです。
では、東北地方から以北に住んでいた人々の生活といえば…
狩猟や木の実をとったり、そう、かなり自然とお友達だったってわけです。
『適材適所』なんて言葉…
覚えていますか。
気候が違えば、自然の環境も違います。
そして、北海道、サハリン、千島列島に住んでいた『アイヌ民族』は、
日本人と言われている人々と生活習慣がちがって当たり前ですよね。
独自の言語をもち、文化が発達したのです。
自然に密着した文化なことはいままでの説明からもわかりますよね。
そんな文化や生活習慣を育んだ『アイヌ民族』
彼らがいわゆる日本人といわれた人々と合わないのは当たり前ですよね。
しかも、あの面倒くさいかもしれない『律令』制度を受け入れる余地すらなかったことでしょう。
そりゃそうですよね。
『アイヌ民族』は、『良民』それとも『賤民』?
どちらに属するのでしょうか。
考えてみてくださいね。
奈良時代にあなたが生きていたら…
『アイヌ民族』をどちらに分類しますか。
それはそれとして…
征夷大将軍って覚えてますか。
そうそう、坂上田村麻呂が有名ですよね。
東北地方の制圧に成功した将軍。
この『征夷』って、
『アイヌ民族』=『蝦夷』
つまり、アイヌ民族を制圧する軍の大将が…
『征夷大将軍』というポストだったんです。
だから、『アイヌ民族』は先住民族であるにもかかわらず、
迫害の歴史が長い間、続いたのです。
『アイヌ民族』のことを考えるとき大切なのは、
彼らの文化は『口承文化』。
つまり、口伝えで伝わっていく文化なのです。
そこで、明治政府が行った政策、
『同化政策』を思い出して下さい。
文化の継承という立場から考えれば、
大変なことをしてしまったんです。
つまり…
アイヌ人の日本人化を強要したのです。
それが『同化政策』といいます。
当時、近代国家の形成を目指していた日本とはいえ、
こういう政策がだされると、
アイヌ民族に対する差別意識を助長してしまいますよね。
アイヌ民族としての誇りなんて、あったもんじゃありません。
そういう歴史の中を生きてきた『アイヌ民族』。
彼らは、いま、自分たちの文化の継承や民族として教育をめざしています。
1997年…アイヌ文化振興法制定
アイヌ文化を振興し、アイヌの伝統を尊重することが求められた法律が制定されたのです。
2008年…国会において、『アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議』を行ったのです。
確実に、『アイヌ民族』に対する日本国民の目が変わってきている証拠だと思います。
教科書の巻末資料にアイヌ文化振興法が載っていると思います。
むずかしいって、思っても、目を通しておくといいですね。
その4 在日韓国人、在日朝鮮人
2009年現在、日本には、在日韓国・朝鮮人が何人いるか知っていますか。
『在日』って言ってますから、日本に決まっていますが…
約58万人だそうです。
日本の人口を1億2千万人としたら、ごくわずかですね。
でも…なんです。
お隣の国から、たくさんの俳優、歌手が来て、両国の友好が図られたようですが…
うーん、その結果、どうなったでしょうか。
返って、仲が悪くなったような、そうでないような。
グローバル化が進んだ世界。
もちろん、いろいろ問題はありますが…
ちょっと、むかーしからの歴史が、尾を引いているのか…
なかなか、解決されませんね。
どうやったら、仲直りできるんでしょう。
結構、文化が似てるんですけど。
十二支、三顧の礼…。
似てますよ。
いろんなところで。
返って、似なかった方が良かったんでしょうか。
この機会に考えてみるといいですね。
なぜ、お隣の国と仲が良くなれないのか…。
お隣の国だからこそ、仲を良くした方がいいと思うんですけど。
教室で隣に座った人がいやーな性格の人だったら、どうしますか。
席替えしてもらうのも…
あからさまに隣の人が嫌だ-!って
言っているようなものですから…
そうも言えませんよね。
ちょっと、一か八かだと思います。
と、レベルは違いますが、ちょっと、考えてみてくださいね。
さて…
1910年…韓国併合
日本は、韓国を植民地として統合しました。
そのとき強制労働などを虐げられた人々、日本へ強制連行された人々。
日本、やっちゃいました。
だから、あんまり、日本のことを好きになって-!
なんて、大声で言えませんよね。
日本人を見るのも嫌!なんて韓国人がいることは、仕方のないことですよね。
昔のことを持ち出されても…と思う人もいるかもしれません。
でも、そういった歴史は、今のことなんです。
どんなに昔の歴史でも、すべて今のことなんです。
だから、こういった国際関係、国際感情がでてくるんです。
お隣…関係ないんですよね。
それより、お隣だからこそ、仲が悪ーい状態が続いているのです。
でも…3世紀、『渡来人』がやっていました。
しかも、高度な技術をもたらした『渡来人』。
『須恵器』、覚えてますか。
昔すぎるじゃないか…。
確かに。
でも…『白磁』を美しいって貫き通した柳宗悦(やなぎ むねよし)。
大学を退学寸前まで追い込まれましたが、自分の意見を貫き通しました。
美しいものを美しいって言ってなぜ、悪い…
それが、彼の主張でした。
教科書の内容でも、いろいろなことを関連づけていくと…
奥の深いものになっていきます。
ぜひ、いろいろなことを関連づけながら、
勉強してみてくださいね。
一つの体系ができあがって来ると思います。
それが、『社会』科なんです。
さーて、話を戻しましょう。
こういった、歴史をもつ在日韓国・朝鮮人。
現在、彼らの民族の誇りを守って、さまざまな分野で活躍しています。
でも…なんです。
就職や結婚など…人生の転機となる瞬間に
彼らは『差別』を受けるのです。
たとえば、日本国籍がない…。
それがネックになるのです。
彼らの前に立ちはだかる『制限』という二文字。
公務員、選挙権…。
だからこそ、彼らの人権保障を推進する必要があるのです。
1996年…政令指定都市として初めて、神奈川県川崎市の消防職員を除く
公務員採用試験の受験資格から、
『日本国籍を有すること』
この項目を撤廃しました。
これを皮切りに、高知県の採用、昇進に国籍の制限の原則禁止、
そして、外国人の採用を認める地方公共団体が増えてきているのです。
急激な変化は、社会をひずめます。
でも、ゆるやかな絶え間ない変化は、長い年月のうちに社会が受け入れるのです。
そう、あの川の流れが長い年月とともに浸食され、水の通り道が変わっていくのと同じように…
どちらにしても、みんなが、幸せだ!って思える世界を築いてほしいものです。
まだまだ、お話はあるんですが…
ここで、ちょっと質問です。
差別解消のために行われている努力には、どのようなものがあるのか、答えてみましょう。
部落差別:
1965年の同和対策審議会答申で、部落差別をなくすことが国の責務であり、
国民の課題であると宣言されました。
それ以降、同和対策事業による生活改善が推進され、
1997年からは人権擁護の総合的な施策が行われています。
その5 男女平等
『男女平等』って存在するんでしょうか。
わたしは、男性です。女性の立場に立って考えられないです。
だから、よく分かりません。
といったら、元も子もないですね。
幼少の頃…
わたしは、両親から
『一人で生活できるようになりなさい』
といわれ続けました。
へたくそでも、料理ができるように。
へたくそでも、裁縫ができるように。
へたくそでも、洗濯ができるように。
そう言われて育ちました。
当時、日本が戦争に負けて、高度成長期を迎え、そして、第二次ベビーブーム到来。
しかも、公害問題、ゼネスト、オイルショックなど、話題には事欠かない日本でした。
東京オリンピックもありました。
と、回想している場合ではありませんね。
でも、わたしの両親は共働きで、いわゆる鍵っ子だったわたし。
家に帰ると…ご飯炊き。
やってました。
炊事洗濯は、身についていました。
だから、男の子だから、女の子だから…なんて、あんまり考えたこともありませんでした。
『男子厨房に入らず』なんて、言われていた時代です。
もちろん、この意味は、男が台所に行くと…
口うるさいから、引っ込んでいろ!って
女性の本音かもしれませんが。
『味にうるさい人』っていやがられますよね。
折角、愛情こめて作った料理を
『こがしたんじゃない?』とか
『しょっぱいね』とか
『あますぎるね』とか…
何の気なしに言った一言が…致命傷にならないとも限りません。
そんなとき…『差別』という二文字を思い出すのです。
いまの男女間は、意外と分け隔たりがないようですが…
着替えるとき…低学年から男女別々にしていることが多いですよね。
男性、女性としての意識が始まっている証拠です。
良い悪いを言っているわけではなく、男女の違いがあることを認識し始める時期が
低年齢化しているのです。
そういった時代を迎えて…久しい日本。
お互いの違いを認め合うことはできてきた日本。
それでも…
『男性は仕事』
『女性は育児』
という固定観念は根強く残っています。
わたしが大学の研究室に所属していたときの話。
これは、実話です。
女子学生も何人かいました。みんなで雑談のひととき。
そして、女子学生が帰ってから…
男子学生になったら…です。
『お茶、一つださないじゃんか』
『なんだよ、お茶くらいだしたっていいじゃんか』
という発言が誰からともなくでてきました。
結局…
『なんだよな、少しぐらい気を利かしてくれてもいいよな』
で話はまとまったのです。
つまり…
『女性はお茶くみ』
これは、して当然っていう固定概念があるためにでてきた会話の内容だと思います。
良いか悪いかは別にして…
というのも、当時は、『男尊女卑』の概念は根強かったですから。
それが、いいのか、それとも、ひとつの『美徳』なのか。
『女性はだまって男性のあとについてくればいい』
という考えがあった時代ですから。
なんとも言えませんね。
とにかく、その時代にその風潮と一緒に流れていかないと
『危険思想』の持ち主って言われた『与謝野晶子』のようになってしまいます。
彼女のように勇気を持って、言えますか。または、行動に移せますか。
『少女と申す者だれも戦争嫌いに候』
っていえるでしょうか。
なかなか言えないですよね。
みんなが言えていたら…
『男女差別』について話題にもなっていないことでしょう。
みなさん、『男女差別』について考えてみるとき…
大切なことは、身近におきていることを見回してみましょう。
教科書に書いてあることは、ほんの一部です。
自分自身でわからないとき…
周りの大人の人達に質問をしてみるといいです。
あなたが思っている『素朴な質問』って、とっても大切です。
意外に、即答できないものが多いですよ。
しかも、未解決な問題って世の中に沢山ありますから。
ところで、最近のニュースですが…
といっても、時事通信の2015年8月4日の記事によると…
イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)の
女性サポーター用にデザインされた新ユニホームが問題になっています。
苦情が殺到…
だれから?おおむね…女性でしょう。
おおむね?
はい、そうなんです。なぜかといえば、
『女性用ユニホームのデザインが、男性用よりも大きく胸元が開いている』
これが苦情の内容です。
だから、『おおむね』ですね。
男女の区別をしているだけ…なのか、セクハラなのか、それが問題だ、というわけです。
とにかく、この苦情が殺到騒ぎにアディダス(Adidas)は、苦しい対応を迫られています。
ユナイテッドの女性ファンたちは、ツイッタ(Twitter)ーにさまざまな意見が寄せています。
『なんで、胸元を女性が見せないといけないの、見せたくない女性だっているんだから…』
『このユニフォーム、性差別でしょ。Nikeだったらこんなデザインするわけないじゃない!』
それに対して、アディダスの対応は…
『ユニフォームと作る際には、ファンの意見を参考にしています』
『アディダスは、選手が着用するユニホームのレプリカを、大人向けに提供しています』
『ファンからのアンケートを参考に、ライフスタイルに沿った製品の一部として女性用ユニホームを提案しています』
『このタイプは一味違うデザインで、ファンの皆さんに選択肢を与えるものです』
そして、アディダスは…
チェルシー( Chelsea)やレアル・マドリード(Real Madrid)、それにバイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)でも
同様の女性用ユニホームを作っているが、苦情は出ていないのに…
と説明しています。
つまり、アディダスは、
『ユナイテッドの女性ファンたちだけがなぜ、そんなに騒ぎたてるの?』
といいたいのでしょう。みなさんは、どう考えますか。こういった実際に起きているセクハラなのか否かのニュース。
自分だったら…着るだろうか。そのユニフォームを買うかどうかから、問題は始まりますよね。
一度、そのTシャツの写真を見てみるといいですよ。
『セクハラ=セクシュアル・ハラスメント』
つまり、性的ないやがらせです。他にもいろんな性的ないやがらせがありますから、調べてみてくださいね。
話がだいぶそれましたが、『男女平等』については、いろいろ話題に事欠きません。
採用の違い、昇給の違い、昇進の違い…。
あっていいちがい、あってはならないちがい、どちらともいえないちがい…
これらは、どれにあてはまるでしょうか。
そして、男性に比べ不利に扱われている現実。
今日の公式
『女性=育児』『女性=介護』『女性=家事』
うーん、女性に怒られそうですね。
この公式がはやく、なくなる時がくるといいですね。
こういった公式があるから…女性の社会進出を難しくしているのです。
ただ、昔に比べれば、だいぶ改善されていますよ。
筆者の母は、若くして医者でした。
女医は、当時としては珍しく、退職するまで現役でした。
しかし、家族の間では、あまりよく受け入れられませんでした。
というのも、筆者やその弟の面倒をみる時間が仕事のため少なかったからです。
小さいころからカギっ子で育った筆者。
7つ下の弟の面倒を見ていた筆者。
小さな子どもに任せて…
家庭のこともできない女性…
そう母をみていたのです。
仕事と家庭を両立するのって身体的に結構、大変です。
そんな母を見ながらそだった筆者。
子どもなりに責任感が強くなりました。
話をもどしましょう。
というわけで、なかなかなくならない女性への差別。
それをなくそうという試みとして…
① 1985年、男女雇用機会均等法が制定されました。
② 1999年、男女共同参画社会基本法が制定されました。
いま、社会に求められていること…
『女性が男性と対等に参加して活動できる社会をつくること』
そのために、育児休業、保育所の整備を推進することにより、
女性の社会進出しやすい環境整備を進め、
女性管理職や専門職に就く割合を高めることは
とても大切なことなのです。
でも、出産は女性しかできませんよね。
性的な役割分担…『出産』を男性には任せられませんよね。
『男女平等』を考えるとき、このことを出発点にするとよいと思います。
教科書にはさまざまなことが書かれています。
でも、『平等』という意味については説明されていません。
『平等≠同等』
これを頭に入れておいてほしいと思います。
『平等』を考えるとき大切なことは、
『お互いを思いやる気持ち』
だと思います。先に書いたユナイテッドの女性用ユニフォームの苦情についても
こんな視点からデザインしていれば、苦情なんて出なかったかも知れませんよね。
参考サイト:
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150804-00000034-jij_afp-socc
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150804-00010002-theworld-socc(ユニフォームの写真もあります)
その6 生涯…障がい
話は変わって、五体満足って聞いたことありますか。
心身ともに健康な人のことです。
世の中って、そういう人のことを基本に作られています。
わたしは、左利き。ちょっと、不便です。
ねじを締めるとき、蛇口を閉めるとき、車のエンジンをかけるとき。
ドアを開ける時もちょっと…。ハサミを使うとき(いまは、両利き用になっているハサミもありますが)…。
世の中、右利きの世界ですから。
身体や知的障がいをもった人でなくても、『ちょっと…』って思う世界です。
まして、身体や知的障がいをもった人だったらどうでしょうか。
目の不自由な人の歩行、車の運転?
耳の不自由な人や言葉の不自由な人の電話…
困っちゃいますよね。
どうしたらいいでしょうか。そんなとき、生まれた考え方が
『ノーマライゼーション』
なんです。
つまり、障がいがあるなしにかかわらず、
どんな人でもみんなが区別されることなくふつうの生活をおくることができるようにすること。
それが、『ノーマライゼーション』。
ここでも、既習概念ですが…
あっていいちがい、あってはならないちがい、どちらともいえないちがい…
の考え方がでてくるのです。
教科書には書かれていませんが…
障がいは、大きくわけて2つあることを覚えておいてください。
① 先天性のもの:生まれつきの障がいのある人
② 後天性のもの:不慮の事故や病気により障がいをもった人
最近は、交通事故などのよる後天性の障がいを持つ人が増えています。
どちらにしても、障がいのある人には、違いないのですが、
いままで、目が見えていたのに、失明してしまった人と
生まれつき目の見えない人の生活の適応能力は変わってきますよね。
しかも精神的なショックにも差異があると思います。
リハビリをするときなど、精神的な力ってとても助かります。
障がいをもった人と接するとき、
ちょっと、気づかってあげられるといいですね。
障がいをもった人々への配慮をするために法の整備もされています。
1970年 障害者基本法(2004年に改正されています)
この法律は、障がいをもった人々の自立と社会参加を支援しています。
2006年 国際連合で障害者権利条約が採択されました。
というわけで、障がいをもった人々の権利を国際的に保障していくようになってきているのです。
そういえば…
以前は、『障害』って『障がい』を表記していました。
ところが、『害』が『害する』という意味があるとして…
現在では、『障がい』と表記するようになりました。
正直な話、どこまで気を配ればよいのか…ちょっとよくわかりませんが、
というのも、教科書には、法律や条約には
『害』を使っていますから…。
この『ちがい』は、あってよいのでしょうか。
もうひとつ、『バリアフリー』について書いておきます。
どういう考え方でしょうか。
連想してください。
『バリア=障壁』
『フリー=解放、自由』
それは、障がいのある人、高齢者などが、
一般の人々と同様に安全で快適にくらせる社会を築こう!
つまり、『身体的にも、精神的にも、社会的な障壁を取り除こう!』
こういった考え方です。
では、身近かにある『バリアフリー』を見つけてください。
ノンステップバス。点字パネル。手すり。優先席。車いす。
音のでる信号機。盲導犬。
まだまだ、いっぱいありますね。
ぜひ、探してみてください。
その7 在日外国人
在日外国人の人数は2009年時点で219万人。
日本の人口を1億2千万人とすると…
何パーセントですか。想像してみましょう。
約2%。
100人に2人は在日外国人。多いですね。
1980年以降、中国、フィリピン、ブラジルから仕事や留学に来日しました。
もちろん、定住するひともなかには、でてきています。
こういった人々に対して『差別』があってはいけません。
年金や保険などの社会保障の整備もすすめ、よりよい社会を築くことが大切なのです。
選挙権…日本国民だけです。
日本に、外人は少なかったですから。
最近、よく見かけますよね。
というわけで、一定の条件のもと、外国人に対しても地方選挙の選挙権を認めたい…
という人々が増えてきています。
もちろん、反対意見もあります。
いろいろな立場でどういった意見がよいのか、考えてみましょう。
その8 共生社会
日本人は単一民族…、島国根性をもった島国に住んでいる人。
本当は、いろんな人種が混ざっているんですけど…。
科学的に証明されていることですが、社会的には、単一民族。
どこから、そういう話がでてきたかは…。
もう、だいぶ長くなっているので、
ここでは、省略します。興味のある人は、ぜひ、調べてみてください。
もともとは、アフリカが人類の起源ですから。
みんなアフリカ人っていってもいいですよね。
じゃぁ、みんな黒人?
謎は深まるばかりなり…
もう、やめておきましょう。
お話は、『共生社会』です。
強制社会?
では、いけません。
共生するためには…
十人十色の考えや生活の仕方を認め合うこと
それが大切です。
そして、おたがいを尊重していくことが
『共生社会』を築くために必要なことなのです。
差別、偏見…
こういった2文字は…『共生社会』に必要ありません。
みんなが助け合うことのできる社会
そういった『共生社会』があることに気付き
そして、築くことができるのは、
いま、この単元を学んだ君たちそのものなのです。
『ちがいのちがい』にもどって『平等』について考えると
『平等』の本意が見えてくると思います。
教科書をただ、読んで暗記するのではなく…
さまざまなことに目を向け、
疑問に思うこと…
そして、その疑問の答えを見つけようと努力すること。
それが、本当の『社会』の勉強だと思います。
それでは、最後に
『共生社会』を築くために、何ができるでしょうか。
・人々の生活や考え方などのちがいを認めたうえで、
お互いを尊重することができます。
・身の回りの差別や偏見を許さないことができます。
・差別を解消するための法やしくみに関心をもち、
国や地方に働きかけることができます。
そのほかにも、自分で考えて答えを見つけてみましょう。
そして、実践してみるといいと思います。
それでは、今回はこの辺でおしまいにしましょう。