第094回 北海道地方 : 自然環境を生かした産業

北海道の適地適作
 
北海道の畑は広いです。
 
北海道の畑作農家の一戸当たり耕地面積:10ha
 
 ≧ 日本全国平均畑作農家の一戸当たり耕地面積 x 10
 
どうです?北海道の畑、広いですね。
 
北海道の農業の特色:
 
 ① 主業農家
 ② 大規模な農業
 ③ 大型機械の利用
 
ちなみに…
 
 主業農家とは、1年間に60日以上農業に従事している
 
65歳未満のものがいる販売農家のうち、
 
農業収入の割合が半分以上の農家のことです。
 
 準主業農家とは、農業以外の収入の割合が
 
半分以上の農家のことです。
 
 副業的農家とは、主業農家、準主業農家以外の
 
販売農家のことです。
 
 さて、十勝平野の畑作面積は日本最大です。
 
ここの土地は、ローム層と十勝川から運ばれた土で構成されています。
 
ここの作物は、小麦、てんさい、じゃがいも、あずきです。
 
『輪作』をすることによって、土の栄養分を維持する工夫をしています。
 
この『輪作』とは、同じ土地で年や時期ごとに異なる野菜を順番につくるやり方です。
 
これらの農産物は全国各地に運ばれています。
 
日本全国に運ばれていることから、北海道は、
 
『日本の食糧基地』とよばれています。
 
 十勝平野は、畑作がさかんですが、
 
根釧台地と同様、酪農がさかんです。
 
十勝平野などでは、『混合農業』を営んでいる農家も多いです。
 
覚えていますか、温帯のところでやりましたね。
 
地中海性気候の農業も混合農業を営んでいました。
 
いつも、関連付けて勉強をしましょう。
 
覚えていない人は、もう一度、見てみましょう。
 
少しは、思いだすかもしれませんから。
 
一度勉強したところは、読み返すことがとっても大切です。
 
しかも、以前勉強したときよりもスピードがアップしているはずです。
 
成長した証拠です。
 
自分の成長は、こういったところで顔をのぞかせるんです。
 
さて、話をもどします。
 
北海道における乳牛の一戸当たりの飼育頭数は、全国第一位。
 
規模がちがいますから。
 
生産される生乳は乳製品の工場に運ばれ、乳製品に加工されます。
 
そして、全国に出荷をしています。
 
地元で生産されたあずき、さとう、たまご、牛乳、バター、チーズを利用して、
 
お菓子の製造もさかんです。
 
お菓子は、基本的には、観光客へのおみやげ品として、親しまれているのです。
 
『白い恋人』…おいしいですよね。
 
さりげなく、宣伝してしまっていますが…
 
ほかにもどんなおみやげ品があるか、調べてみましょう。
 
でも、いいことばかりではありません。
 
農産物の輸入自由化政策が、
 
北海道をはじめ全国の農業経営を圧迫しているのです。
 
安い輸入農産物に対抗できる国産農産物を作らなければいけません。
 
食料自給率が低い日本。
 
食料の基地といわれる北海道。
 
なんとか、がんばってほしいものですよね。
 
というわけで、どうしたらよいでしょうか。
 
考えてみてください。
 
北海道の畑作地域や酪農地域(十勝平野や根釧台地でしたね)では、
 
価格を下げるよりも、
 
『食の安全性に配慮した農産物を生産』することで
 
安い輸入農産物に対抗しようとしています。
 
 では、乳製品を加工する工場や製菓工場では、どのような取り組みがされているでしょうか。
 
いま、輸入原料と地元産の原料を使う割合をどうするか、
 
そこを議論しているそうです。
 
生産コストを下げるには、
 
輸入原料と地元産の原料、どちらか安い方を使いたいですよね。
 
でも、混ぜることってできるんでしょうか。
 
輸入原料をいきなり使わなくなることってできるんでしょうか。
 
しかも、食の安全性を考えた農産物を考えてつくっている北海道の農家のことを考えれば、
 
うかつに『輸入原料』を使うことも考える必要があるのではないでしょうか。
 
ここは、地元産の原料だけで作ったほうがいいと判断したらよいのでしょうか。
 
みなさん、北海道の人々の立場になって考えてみましょう。
 
それが、本当の勉強です。
 
さて、ちょっと、書き忘れたことがありました。
 
そう、なぜ、北海道では、生乳の8割以上を加工にまわしているのでしょうか。
 
北海道以外の地域では、9割近くの生乳は、牛乳として、出荷されているんです。
 
おかしいですね。
 
じつは、北海道の人口って、面積の割合に比べて、少ないですよね。
 
しかも、『日本の食料基地』と言われているくらいです。
 
つまり、北海道内では、あまってしまうくらいの食料が生産されているのです。
 
消費地は、自然と、道内よりも、日本全国になりますね。
 
そういうことを考えると、
 
牛乳のように日持ちが悪い状態での出荷は難しくなります。
 
しかも、輸送コストがかかりますよね。
 
北海道は、日本の北に位置します。
 
津軽海峡を隔てていましたね。
 
乳製品に生乳を加工して、
 
もっと簡単にいえば、
 
しぼった乳は、バターやチーズに加工することによって、
 
付加価値をつけ、製品自体が値打ちがあるものとして、
 
日持ちがよければ、日本全国に出荷することができるようになるわけです。
 
だから、北海道では、生乳を加工して出荷する道を選んでいるわけです。
 
お菓子をつくるときも、牛乳を使いますよね。
 
ところで、チーズ1kgつくるのに、牛乳を何リットル使うかご存知ですか。
 
教科書には書いてありませんよ。
 
なんと、10リットルくらい必要なんです。
 
それから、酪農家には、必ず搾った乳を集乳車がくるまで、
 
バルククーラーという巨大な生乳を貯蔵しておくクーラーに入れておきます。
 
搾りたての牛乳には、どんなに衛生面を考えて
 
清潔にしていても細菌はありますから。
 
それを殺菌するのは、酪農家の仕事ではありません。
 
じつは、集乳車が集乳所まで持っていく間、
 
結構、時間があるんです。
 
搾乳は、普通、一日に朝と夕方の2回です。
 
そうすると、殺菌施設がない酪農家では、
 
搾った乳を冷やすことによって、
 
細菌の増殖を抑えるのです。
 
つまり、バルククーラーというものに
 
搾った乳を入れて、集乳車が来るのを待つのです。
 
搾った乳は、1時間以内に10℃まで下げ、
 
その次の1時間以内に4℃に下げなければなりまません。
 
しかも、牛乳って、いつも混ぜてないといけないんです。
 
それを撹拌っていいます。
 
集乳車が来るのは、1日に1回が普通です。
 
夕方搾った乳は、朝までとりに来ません。
 
その間、搾った乳を新鮮に保たないといけないんです。
 
酪農家って、乳を搾ればいいって考えているかもしれませんが、
 
とっても、気を使っているんですよ。
 
教科書には、書いてありませんが、
 
こういったことを覚えておくと、
 
北海道の農家の抱える問題を考えるとき、
 
役に立つことがあります。
 
そんなの高校入試とは関係ないじゃん。
 
確かに…
 
でも、こういったことは、
 
将来、きっと、役にたつときが来ると思います。
 
なぜって?
 
農家の人たちは、農産物の輸入自由化をされると
 
これだけの苦労が水の泡になるかもしれないのです。
 
彼らの生活がかかっているのです。
 
簡単に、代替案を考えることができないのです。
 
彼らにとっては、高校入試の問題を解くのとは
 
レベルが違う問題なのです。
 
そういった背景も考えることこそが、
 
本当の勉強です。
 
それでは、今回はこの辺で、おしまいにします。

 


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