第005回 古代の文明と宗教
今日は、陽斗くんと奈々さんが歴史の『古代の文明と宗教』について話し合ってます。
どんなことが話し合われているのでしょうか。耳をすまして、ちょっと聞いてみましょう。
陽斗:だいたい、古代っていう時代区分がわかんないんだけど。
奈々:確かに…もしかして、古代進?
陽斗:なに、人の名前言ってるの。それ、宇宙戦艦ヤマトに出てくる人でしょ。
奈々:実写版もあったわ。
陽斗:そんなこといいから、『古代』。
奈々:えっと…ちょっと、調べてみる。あったわ。えっとね。原始時代のあとの時代で、
中世・近代の前の時代。文明の階級ができるころだって。日本では、弥生時代から
平安時代だって。
陽斗:なーるほど。その『古代』が始まるか始まらないかというときに、
世界では四大文明が起こったんだ。
奈々:でも、その『文明』って何かしら。
陽斗:えっと…『文明』?なんだろう。『文化』と同じだけど、道徳とか宗教を『文化』、
物質的・技術的につくり上げたものが『文明』だって。
奈々:そうだったの。調べると、いろんなことがわかっていいわね。
陽斗:この『文明』は、大河のほとりでおこったんだ。
奈々:まずは、食糧よね。
陽斗:そう、農耕や牧畜が盛んになり、計画的に生産したり蓄える知識を身につけたんだ。
奈々:でも、いつも豊作ってことないでしょ。
陽斗:そうだよね。気候や技術の差から食糧不足に悩まされる地域もでてきたはずだよ。
奈々:そんなときは、どうしたのかしら。
陽斗:話し合いで取引したりして、食糧をもらえたらいいけど、
ほとんど、力づくじゃないかな。
奈々:ということは、争いが絶えなかったのかしら。
陽斗:そうだと思うよ。それに、強い集団は弱い集団を従えて、
どんどん大きくなったと思う。
奈々:それが、国のはじまりね。
陽斗:その通り。
奈々:そこで、現れたのがその国(大きな集団)の指導者ってわけ?
陽斗:そう。戦争や祭り、用水路の工事など生活に欠かせないものの指揮をしていた人が
だんだん王とか貴族となって、『支配者』となったんだ。支配する人がいれば、
支配される人もいるよね。
奈々:そういう人たちを農民とか奴隷でしょ。
陽斗:このころの奴隷って、戦争に負けて捕虜となった人やその子孫がなってたんだ。
奈々:これで、『集団』にも、支配者と支配される者という区別ができたのね。
陽斗:そう、『区別』だよ。『差別』じゃないよ。社会的に『区別』されたみたい。
奈々:いまだったら、『差別』のような気がするけど…。
陽斗:『区別』だよ。
奈々:『差別』じゃないの?
陽斗:『区別』。
奈々:もういいわ。続けて。
陽斗:その『集団』が大きくなるにつれて、『都市』ができあがったんだ。
奈々:そこには、大きな神殿や宮殿ができたのね。
陽斗:それに、土器や石器以外にも、青銅器や鉄器がつくられて、文字も発明されたんだ。
奈々:ところで、四大文明っていってたけど、古代に栄えた文明は四か所あるってこと?
陽斗:その通りだよ。エジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明、中国文明。
奈々:全部、大河のほとりなの?
陽斗:そうだよ。まず、ナイル川沿いにおこったエジプト文明。チグリス、
ユーフラテス川沿いにおこったメソポタミア文明、インダス川沿いにおこった
インダス文明、そして、黄河沿いにおこった中国文明。
奈々:へー。ところで、文明がおこったっていっても、どんな特徴があるのかしら。
陽斗:『文字』かな。エジプト文明では、ヒエログラフという象形文字。
メソポタミア文明では、くさび形文字。インダスではインダス文字という象形文字。
インダス文字はまだ、解明されてないんだって。現在、400字くらい発見されてるけど、
読めないって言う話。それから、中国文明では、もちろん、甲骨文字。
これは、漢字のもとになったんだ。
奈々:『文字』っていっても、けっこう、いろいろあるのね。
聞きながら『もじもじ』しちゃう。
陽斗:いいから、勉強しようよ。ナイル川の氾濫(はんらん)は、いい迷惑だけど、
川の周りの地域に肥沃な土がたまるから、そこに農耕が発達したんだ。
奈々:それって、怪我の功名ってこと?
陽斗:そういうことだね。
奈々:食べるものがつくれるようになったら、きっと国もできたのね。
陽斗:頭、いいね。その通りだよ。紀元前3000年ころには、もう、国が統一されて、
ピラミッドが建設されるようになっていたんだ。
奈々:このピラミッドってなんなの。でっかい四角すい。
陽斗:これは、国王のお墓。
奈々:でも、川の氾濫(はんらん)が人々の生活に役立っても迷惑だわ。
家まで流されたらどうすんのよ。嫌よ、わたし。
陽斗:たしかに…。でも、昔の人もそういう考えだったんじゃないかな。
あるとき、星を見ていたら気がついたんだ。星の位置から氾濫(はんらん)する
時期がわかるって。それで、天文学が発達したんだ。天文学が発達したら、
暦(こよみ)もつくっておいた方がいいって『太陽暦』がつくられたんだ。
奈々:氾濫(はんらん)する時期がわかると、だいぶ気が楽になるわね。
陽斗:そうそう。ところが、メソポタミア文明では、月の満ち欠けを利用した
『太陰暦』が生まれたんだ。それに、時間は60進法にしようって。
一週間は、七日にしようって。
奈々:え、なにそれ。60進法ってどういうこと?
陽斗:ちょっと、数えてごらん。1,2,3…
奈々:なに、人を馬鹿にしてんのよ。4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15…
はやく止めてよ。いつまで、数えたらいいのよ。
陽斗:そんなに、おこんないでよ。えっと、10の次が11だったよね。
奈々:なに、当たり前のこと言ってのよ。
陽斗:それ、世の中は10進法でつくられてるから、そうなるんだ。
奈々:え、どういうこと?
陽斗:時間の世界では、60分で1時間。120分で2時間。60秒で1分。120秒で2分。
というように、60が一つの単位なんだ。そういう世界を60進法っていうんだよ。
奈々:そうなの。でも、6.99秒の次は7秒よ。時間の小数点の部分は、
60進法じゃないんじゃない?
陽斗:なに、鋭いことつっこんでんの。その通りだけど…。
奈々:こまってる、こまってる。
陽斗:人を馬鹿にしないで。先に進もう。
奈々:ところで、アガサ・クリスティの推理小説に『オリエント急行殺人事件』って
あったけど。その『オリエント』ってなにかしら。
陽斗:いま、勉強したエジプトとメソポタミアを含む地域のことで、
『太陽ののぼる土地』って意味。
この地域でみんなの知っているアルファベットができたんだ。
しかも、鉄器が紀元前1000年ごろには、使われていたんだって。
奈々:ところで、場所がだいぶ離れてるけど、インダス川のほとりではどんな文明が
おこったのかしら。
陽斗:紀元前2500年ごろに、排水施設がある都市が栄えて、紀元前1500年ごろには、
アーリア人が中央アジアからやってきて、先住民が奴隷になっちゃった。しかも、
カースト制度のもとになる身分制度を中心とした国がこのアーリア人を中心に
つくられたんだよ。
奈々:なにそのアーリア人って。なんか、ウルトラマンに出てきそう。
陽斗:中央アジアの高原地帯に住んでいた遊牧民族のことだよ。
インド=ヨーロッパ語族系の人種で、もともと中央アジアで遊牧生活を送っていて
紀元前1500年ごろ、鉄製武器と騎馬戦法でインドを侵略して、
他の一部は、イラン高原にうつってイラン人になったんだ。
奈々:ところで、文明もおこったけど宗教のおこりはどうなの?
陽斗:自然の現象は神の仕業って考えられて、『宗教』がおこったんだ。
人間の自然の考え方だね。
奈々:まず、釈迦(シャカ)について。
陽斗:紀元前5世紀ごろ、インドに生まれたんだ。
仏教を説いた人。
『心の迷いを取り去ることで、この世の苦しみから逃れることができる』
厳しい修行をすれば、救われる(従来) ⇒ 仏にすがれば、救われれる(紀元前後)
そんな考え方が中国・日本に伝えられたんだ。
奈々:それじゃ、イエスについて。
陽斗:紀元前後に、パレスチナに生まれたんだ。
現在では、紀元前4世紀ごろに生まれたって言われてるけど。
キリスト教を説いた人。
『神を信ずる者はだれでも救われる』
この考え方は、聖書(新約聖書)にまとまれてるよ。
奈々:最後にムハンマド。
陽斗:彼は、7世紀に、アラビア半島に生まれたんだ。
しかも、アラーを信仰する北アフリカやヨーロッパの一部、東南アジアまで
広範囲に渡って広まったんだ。この教えは『コーラン』に書かれてるよ。
奈々:で、ヒンドゥー教は?
陽斗:インドで広まった文化や社会のあり方まで強く規定している宗教のこと。
この仏教、キリスト教、イスラム教を世界三大宗教っていうんだ。
信者の数では負けないくらい大きいヒンドゥー教は、インドの地域しか、
広まっていないことから、世界三大宗教に含まれてないんだ。
奈々:そうなの。
陽斗:教は、もう、たくさん勉強したから、もう、いいんじゃない。疲れちゃった。
奈々:そうね。それじゃ、この辺で、やめておきましょう。
陽斗:で、次回は、どんな話をするの?
奈々:『第006回 中国の文明について』をテーマに考えているわ。勉強しておいてね。
陽斗:えー、勉強しなきゃだめなの。
奈々:そうよ。あたりまえでしょ。それじゃ、また、次回まで、さようなら。