安倍晋三首相は、6月14日の閣議決定を目指す成長戦略の柱の一つに
育児休業3年をかかげました。
それというのも、出産を機に6割以上の女性が離職する現状に歯止めを
というのが目的です。ところが、女性や企業からは長期の休業に対して、不安の声も
上がっています。
この政策の評価 :
〇 女性の社会進出を進めることになります。
日本では多くの女性が第1子の出産の際に離職し、子供が2~3歳になると
復職している現状を考えれば、前向きな政策なのです。しかも、復帰後は
ほとんどがパートタイムなどの非正規雇用になっていることを考えれば、
育休を1年半から3年に延長することで、出産による離職者のうち何割かは、
辞めずに正社員にとどまることができるという利点があります。
△ 育児休業 3年間は長すぎと考える女性がいます。
休業の取得期間が多様化することにより、待機児童問題の解消につながります。
現在は(所得保障のある)育児休業が基本的に1年間のため、
子供が1歳の4月に保育所入所が殺到しています。それが原因で大量の待機児童が
いるのです。これを避けたいために育休を早く切り上げ、比較的入りやすい
0歳の4月に入所させる競争が起きているのが現状です。それを育児休業3年で
休業期間が倍になり選択肢が増えることにより、1歳児の過度の入所集中を
分散でき、0歳児を保育所に慌てて預ける必要がなくなります。そして、1~2歳児
クラスに振り分けることができ、3歳であれば幼稚園もひとつの選択肢になるので、
待機児童が減少するはずです。
△ 育児休業 3年間は長すぎと考える女性は、
仕事の能力や意欲が低下するかもしれないという不安をもっています。
この問題を解決するには、休業中に勉強や会社との情報交換を行うなどのシステムを
つくることにより、解消できると思います。
△ 女性のキャリアの妨げになったり、採用抑制につながるかも。
たとえば、女性の積極採用に助成金を出すなどの政策で解消されると思います。
現状において、6割以上の女性が育休制度で離職していることを考えれば、
この人たちが継続して働けるように環境を整えることも大切だと思います。
△ 長期休業よりも長時間労働の見直しを
長時間労働の見直しをして、仕事と育児が両立できる環境を整えることにより、
3年間の育児休業は、必要がないという考え方もあります。しかも、仕事に対する
ブランクが少なければ、多くの社員も『職場復帰』がスムースにいくことでしょう。
△ 復帰後の課題をどう解決したらよいのでしょう。
不眠不休で働ける社員だけが評価されてはいけません。
時短や在宅で働く人は常に負け続ける仕組みは改善しなければいけません。
少子高齢社会の日本では、女性に限らず、介護や育児など制約を持ちながら働く人の
割合がさらに増えるのは確実なので、時間あたりの生産性で評価することにより、
復帰がしやすくなるはずです。
最後に
具体的に、政府が残業手当の基準を引き上げたり、長時間労働を規制したりすることが
今後、必要となってくるはずです。時間の制約を持ちながら働く人や若手など、
長時間労働に縛られない工夫がこれからの職場には必要になることでしょう。
会社とコミュニケーションを取りながらの在宅勤務をすすめることもひとつの工夫だと
思います。とにかく、少子高齢社会の日本が直面している問題をみなさんが真剣に
受け止め、どうしたら、働きやすい環境をつくることができるのか、考えていく必要が
あると思います。
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