環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉が1月以降、正念場を迎えています。
米国は今秋の中間選挙を控え春までには合意にこぎ着けたい考えです。
関税分野では、日本に対する風当たりが強まってます。
シンガポールで昨年12月に開かれた閣僚会合は、国有企業改革や医薬品の特許問題などで各国が合意できなかったため、
最大の目的だった「年内妥結」を断念しました。
日本はシンガポール会合で、重要5項目を関税撤廃の例外とするよう強く主張しました。
TPP交渉全体の行方を左右する日米2国間協議でも一歩も譲りませんでした。
しかし重要5項目に含まれる農産品すべての関税を維持した場合、
日本の関税自由化率は93.5%にとどまります。
「交渉参加国のほとんどが100%か、それに近い自由化率を提示している」なか、日本の保守的な姿勢が突出した形になっています。
TPP交渉を主導する米国は、11月にも中間選挙に突入します。
選挙が近づけば米政府は動きが取りにくくなるため、交渉を加速させ3月末には決着させたいところなのです。
2月に開かれる次回閣僚会合が一つのポイントです。
このため難航分野の交渉が短期間でどこまで進展するかが今後の焦点となっています。
国有企業改革や知的財産権など、「新興国対先進国」の構図が強い分野は、
関係国が多く、相互に妥協する可能性があります。
新興国の現状に配慮する内容の特別条項を付けることで解決の道を探る案も浮上しています。
これに対し関税分野は、「1対11カ国」という日本が孤立する構図になってきています。
日本が重要5項目の関税維持を主張し続ければ、各国の批判を浴びかねません。
公共事業への外資参入を認める「政府調達」など、日本が「攻め」と位置づける分野が
次々に決着すれば、これらの譲歩を取引材料にして関税を守る交渉戦術が使えなくなります。
政府内では「関税交渉だけ残され、四面楚歌(そか)の戦いになる恐れは捨てきれない」との
懸念が高まっています。
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